コンソーシアムについて
設立経緯
わが国の胃がんの死亡数は、2018年時点で年間44,192人*1、罹患数は男性では第1位、女性で第3位という状況であり、予防・対策が可能ながんと言われているにもかかわらず、高い水準となっています。
依然として高水準である一方で、2013年2月21日にヘリコバクター・ピロリ(以下、H.ピロリ)感染胃炎に対して除菌治療の保険適用が認められて以来、5年連続で胃がんにより亡くなった方の人数は減少しており、H.ピロリ菌の除菌治療によるものであることが確定的になってきています。現在(2017年時点)までに約800万人*2の方が除菌治療をしたと言われていますが、まだ3,600万人(2017年時点)*3もの感染者がいるとも推定されており、いまだに多くの胃がんハイリスク者が放置されている状態でもあります。
そのような状況を踏まえ、ピロリ菌ゼロアクション・コンソーシアムでは、健康経営が盛んになり、企業が社会的責任として健康管理を推進していく時代になったことから、有志の企業とともに医産連携で、胃がん撲滅の活動を展開することとしました。
*1『国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計)』
*2参考文献『胃がんは「ピロリ菌除菌」でなくせる』北海道医療大学学長 浅香正博』からの推論値
*3『日本内科学会雑誌106巻:10~15,2017』
ご挨拶
この度は当コンソーシアムのHPをご覧頂き、ありがとうございます。当コンソーシアムは、企業が直面する医療や健康について、積極的に取り組みを考える会として立ち上げました。年々増えつづける医療費や社会保障費は国の財政に大きな影響及ぼしていますが、この状況は、企業にとっても大きな課題となっています。このような状況下で、経営戦略としての健康経営を推進する企業は増加しています。その理由は、企業の健康づくりが企業の生産性、或いはリクルーティングなどに大きな効果を生み出しているからだと思います。健康経営の考え方の根幹にあるのが「人は企業の資本である」ということですが、この「人」を資本とするという考え方は、これまで経営戦略として意識されることはほとんどありませんでした。ところが、経済成長も一段落し、成熟経済の中で、あらためて「人」という資本を考えはじめる時代になってきました。「人」という資本をどう活性化するかというテーマは、次の時代の経営戦略だと考えています。当コンソーシアムでは、「人」資本のもとになる健康づくりに取り組んでまいりたいと考えております。国の政策である「健康寿命の延伸」というテーマを、企業として戦術化し、一人ひとりがしっかり健康課題に向き合う姿勢と健康づくりをサポートすることが必要だと考えております。
今回、当コンソーシアムで取り組む課題は「ピロリ菌ゼロアクション」というテーマです。胃がんの原因といわれているピロリ菌除去を積極的にすすめることにより、胃がん罹患者を減らす運動を展開します。具体的な活動としては、従業員やご家族の方々に的確な胃がん情報を啓発し、ピロリ菌の除菌を進め、胃がん対策を取り組むという取り組みです。是非、多くの企業の皆様にこの社会運動に参加して頂けますようお願い申し上げます。
ピロリ菌ゼロアクション・コンソーシアム会長 平野治
NPO健康経営研究会 副理事長
株式会社エイチ・ツー・オー代表取締役
「ピロリ菌ゼロアクション」活動は、職場などでのプレゼンティズム・アブセンティズム*の改善に寄与するものです。ピロリ菌は、胃がん発症の要因であり、十二指腸潰瘍等の胃疾患系を引き起こすことも判っています。ピロリ菌の除菌は症状の予防・改善のみならず、健康維持・管理・増進に重要なヘルスケアです。
男女差のないピロリ菌の感染は、女性にとっても様々な弊害をもたらしています。女性は世代毎で異なる女性特有の健康課題を有し、結婚・出産・子育てなど様々なライフイベントの中で、仕事との両立を模索し取り組んでいます。
企業の皆様には是非、働く女性たちが健やかに活躍できる職場づくりをサポートして頂くと共に、本「ピロリ菌ゼロアクション」活動を女性活躍推進のためにも導入していただきたくお願い申し上げます。働く全ての男性・女性、そしてご家族の皆様に健やかな日々を過ごしていただきたく、正しい胃がんの知識とピロリ菌の情報知っていただき、是非本取り組みにご参加を頂きますようお願い申し上げます。
女性の健康とメノポーズ協会は、1996年設立以来、「生涯を通した女性の健康づくりとよりよい働き方を考慮した女性の健康経営」を推進するために、医療・運動・食事・ライフスタイル、そしてワーク・ライフ・バランスに関する適切な情報発信と啓発・サポート活動を提案型で行っております。
http://www.meno-sg.net/
*アブセンティイズム (病欠) :病気や体調不良などで従業員が会社を欠勤する状態をいう。プレゼンティイズム (疾病就業):出勤するが心身の不調で生産性が上がらない状態をいう。
ピロリ菌ゼロアクション・コンソーシアム副会長 三羽良枝
公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会 理事長
医療コーディネーター紹介
医療コーディーネーター
関谷剛
医学博士・産業医
信州大学医学部・東京大学大学院(医学系研究科アレルギーリウマチ)卒業。東京大学付属病院・国立国際医療研究センター勤務を経て、東京大学医学部分子予防研究所医学教室にて、環境医学・免疫学を研究。城西大学薬学部元教授。東京大学未来ビジョン研究センター「ライフスタイルデザイン研究ユニット」客員准教授。労働産業衛生コンサルタント会社、合同会社ロハスオフィス代表
活動指針
- 胃がん患者の99% *4がピロリ菌の保菌者であるとされることから、H.ピロリ菌を除菌啓発・促進することにより、国内の胃がん死亡数の減少を目指す
- H.ピロリ菌の除菌治療に促すためのスクリーニング検査の普及を推進する
- 当団体の理念に賛同する企業が、社会的責任として従業員及びステークホルダーである国民に対して、胃がんやピロリ菌に関する理解を深める機会を提供する
- ピロリ菌は胃がんにとどまらず、胃・十二指腸潰瘍等の様々な胃疾患の原因とされるため、この対策を通じて企業がプレゼンティズム・アブセンティズムの問題にも取り組む
- 啓発活動の参加者の賛同のもと、胃がん撲滅につながる各種データを収集・開示し、医学界の発展に寄与することを目指す
- 活動を通じて、健康は自らが守る(管理する)というセルフケアの文化を定着させる土壌を作り、増大する社会保障費の削減の可能性を追求する